ハイジおばさんの隠れスポット:その2
神秘とロマン溢れるアニヴィエの谷の巨石伝説
スイス西南部にあるアニヴィエの谷。
聖なるマッターホルンを背後から眺める位置にあるこの谷には、謎に満ちた巨石群が眠っている。 フン族の末裔が住みついたといわれ、道具の名前や人名、はては住民の顔付きにもその残映が残る伝説の谷。
この谷の、サンリュック、グリメンツ、ジナール、サンジャンなどの村に残る謎の巨石は全部で20個あまり。その年代は、紀元前に遡る。 「ピエール・ソヴァージュ」(未開人の石)と呼ばれる大小の石には、自然によるものでなく、人の手によることは疑いのない,小穴や紋様が彫られている。
いつ、誰が、なんのために彫ったのか? 半円形の数十の小さな穴は、生け贄の血を注ぐためのものではないのか?巨石に向かって穿たれた足形の目的は?
これらを彫ったのは、スイスの原住民である、ケルト人らしいが、いまもって何故かという理由については定説がないという。
サンリュック村の巨石は、楽に数十人は乗れる大きさ。村のブルジョワジー会館からさらに5分ほど登った森の中にある。 昔はこの辺りには森の木はなかったそうで、裏マッターホルンが遥かに拝める位置にある。聖なる山の遥拝地、はたまた天界と地上を結ぶ目印、 天文観測の記録など色々の説がある。ちなみにサンリュックは、現代では「惑星の道」など、天文観測で有名なスポットでもある。
「殉教者の石」と呼ばれるグリメンツの巨石は、モワリーダムへ向かう途中にあり、屹立する巨岩がいかにも信仰の対象ら しい趣きで、その正面には、左右揃えた足形や、不思議な紋様を彫った石が置かれている。
不可思議な巨石伝説には、魔女伝説も加わり、 石には十字架を祀って魔女退散の祈りが捧げられた他、サンリュックの巨石の上では、毎夏、「ケルトの夕べ」が開かれる。
写真上:グリメンツの足形
沢山の小穴が穿たれた サンリュックの巨石 |
グリメンツの 「殉教者の石」 |
ケルトの夕べ |